ERP導入プロジェクト(会計) ~体制づくりの基本~

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この記事を読めばわかる!重要な3つのポイント:

  • ERP導入時、体制構築はとても大事。特に情報システム部門とステークホルダーの参画
  • ステークホルダーとの認識ギャップは、あるものを入れ替えるだけという意識の違い
  • それでも巻き込むことが出来ずに困ったなら、第三者やアドバイザーに頼ろう

特に以下に当てはまる方は、ぜひこの記事を参考にしてください:

  1. 企業規模5~600名の会社で、ERPの会計領域のリプレイスを打診されている方
  2. 体制の中に情報システム部門、役員をはじめとするステークホルダーが未参加
  3. ERP導入のため情報収集中だが、体制ってそんなに大事なの?と疑問に思っている方

会計処理や財務データの管理等、経営に欠かせない重要な業務を効率化してくれる基幹システム。

既存システムのライセンスが切れてしまう、といった理由で新しい会計系ERP導入を求められている会計部担当者の方々に向けて、導入をはじめる前に知ってほしい重要なポイントである「プロジェクトの体制」について、この記事では詳しく説明していきます。

人によっては、役員の方から「入れ替えるだけだから現場で出来る」と、一任されている場合もあると思います。

そうではなくとも、役員の方がお忙しい、情報システム部門は別の案件で忙しい、という理由から、現場でなんとかしようとしている方もいらっしゃいます。でも、ERP導入においてそれはとても危険です!

社内の重要な業務を担っているERPの入れ替えは、全社をまきこみ、時間も長期でかかる大規模なプロジェクトです。

途中で失敗した!とならないために、見逃しがちな体制がなぜ重要なのか、どうすればいいのかを見ていきましょう。

その1: ERP導入時のプロジェクト体制とは

ERPの導入とは、前述のとおり全社をまきこみ、多くの予算や期間、工数を必要とする、重要なプロジェクトです。

システムの導入が担当者レベルの社員に一任され、導入プロジェクトを推進するための十分な体制が用意されないまま開始されようとしている場合、プロジェクトの遅延や失敗のリスクが高まります。

下記を参照に、十分な体制を用意するために動きましょう。

推奨されるプロジェクト体制

■ 最終責任者 (プロジェクトオーナー)

通常は役員や社内で意思決定が可能な方が最終責任者であるオーナーとして参画します。必要であれば経営層を巻き込みます。

■ PM(プロジェクトマネージャー)

通常部長相当の方が着任されるケースが多い責任者。業務側、システム側でそれぞれたてることが多いです。全社をまきこむプロジェクトのため、現場だけではなく開発部門やベンダーなど横断して業務要件のとりまとめや推進を行える方が必要です。

■ 推進者(チームリーダー)

各業務領域や、システム部門でも(開発、インフラなど)システム領域別で1名ずつ参画し、それぞれの領域の推進を担っていただく方が必要です。規模が大きくなると、複数領域横断して関わってくる内容(マスタやインターフェース等)について検討し、各業務領域の整合性をあわせて取りまとめる共通チームというものも必要になります。

■ 社内システムに関する知見を持つ担当者(情報システム部門)

社内のシステムやインフラについて理解しており、ベンダーへの必要な情報提供や、社内の様々な他システムとの連携などを行う上で必須の人材です。基本的には情報システム部門(会社により呼び名は様々)という、社内のシステム運用や保守を担っている部署の存在が不可欠です。

▼業務要件の整理

また、ERPベンダーを選定する前に、まず組織・業務の見直しを行いましょう。

今回のERPリプレイスにおいて、どの業務までシステムに載せるのかを定めておく必要があります。現在システムにできているものはすべてできるに決まっている、と決めつけてはいけません。システムによっては、同じ製品であってもバージョンが異なることで出来ること、出来ないことが違ってくるのです。現行のシステムで出来ている業務をすべて載せ替えるのか、それとも必要でない業務かどうかを整理していきます。

これが定まっていないままERPベンダーと打ち合わせをしてしまうと、自分たちが求めるものとは違うシステムの見積りが行われてしまいます。ERPシステムで実現したい目的、業務はしっかりと時間をとって確認しておきましょう。

その2:ERP導入には「情報システム部」の協力が必要

ではまず、ERP導入時になぜ「情報システム部門」が必要かという理由ですが、社内のITインフラや、切り替えようとしているERPにつながっているシステム、現行のERPのシステムの在り方を最も理解しているのが、「情報システム部門」だからです。

会社によってITセキュリティや各種ライセンスの管理、様々なERPとつながっているシステムの連携やID等、どうしても現場では触れることのできない情報を多く扱うことになります。なぜならERPとは経営を行ううえで中核を担うシステムなので、社内の様々なシステムとつながっていることが多いからです。

そしてそれは個社ごとに在り方は様々。ERPベンダーはあくまで基本の形は理解していますが、あなたの会社でなぜこうなっているのか、あなたの会社の方でしか知り得ないことは知らないのです。だからこそ、社内のシステムやインフラの知見が深い担当者のアサインが絶対に必要になるのです。

▼とあるIT企業の、ERP導入で情報システム部門不在による失敗事例…。

A社では、情報システム部門の仕事が非常に多かったため、情報システム部門不在でERPのリプレイスが始まりました。ERPベンダーの営業も問題ないということでそのまま進行することに。

ところが蓋を開けると、既存のシステムはかなりの追加開発(アドオン)が実施されており、その設計書も残っていない為、それをリードしていた社内の情報システム部門しか把握しておらず全くその中身がわからないという問題や、社内のITセキュリティのレベルが高くどうしても情報システム部門が操作をしなければERPベンダーも動かせない部分が出てきてしまったり、ERPと連携している他業務システムとのインターフェース(繋がり)も複雑でうまくいかなかったり、と散々な結果に。

結果、途中から無理やり情報システム部門の工数獲得に奔走し、さらには途中まで進めてきた経緯についても説明し、とおよそ2ヶ月以上の時間と予算のロスにつながってしまったのです。

その3:ERP導入には「ステークホルダー」の協力が必要

前述の情報システム部門よりも、皆様どちらかというと、役員をはじめとしたステークホルダーの方にどうやったら積極的に参画していただけるのか、でお困りの方が多いのではないでしょうか。

ここでは必要な理由だけではなく、なぜ参画いただけないケースがあるのかという点についてお話いたします。

まずステークホルダーの方が必要な理由はこちら。

  1. ERP導入プロジェクトの認識の齟齬が発生してしまう
  2. 意思決定者がコミットしないことでオフィシャルな会議で差戻が発生する

▼ERP導入プロジェクトの認識の齟齬が発生してしまう

1の認識の齟齬というのは、ERP導入ってどれだけの時間、コスト、労力がかかるものなのか、を正しく理解していないケースがあるという意味です。結論、これがあると問題や必要な追加作業が発生した際、経営者や役員の方からの理解や承認を得ることが難しくなる場合があります。

これは、ERP導入は現場の担当だけでできるだろう、と指示されている組織の方で多く見受けられます。他には、上司の方からの要望が期間、金額、現機能の維持程度しか降りてこない場合、この状態に陥っているとみて良いです。

これは既にあるシステムの入れ替えだから、ただのシステムの更新だ、と捉えておられる可能性があります。イメージとしてはPCのソフトウェアを入れ替えるものの少し時間がかかるもの、程度の認識ということです。これは大変危険です。

ERP導入は前述のとおり全社をまきこむプロジェクトです。会社の経営方針と導入目的に即した業務要件・システム要件を整理し、必要に応じて追加開発(アドオン)を検討、これを元に設計、開発、テスト、リリース、業務移行を行わなければなりませんし、開発といってもアプリケーション担当とインフラ担当で出来ることも異なります。この背景に齟齬があると、仮にプロジェクトに問題が発生したとしても、理由が理解できないがゆえに、「なぜ?」という齟齬が生まれ、経営者の方から協力や理解を得ることが難しくなってしまうのです。

▼意思決定者がコミットしないことでオフィシャルな会議で差戻が発生する

2の差戻は、ERP導入のみならず多くのシステム導入の現場で発生しているものですね。

具体的な例をお出ししましょう。

とあるIT企業さんでは、役員の方が細かい要件については任せるという方針だったため、プロジェクトリーダーの方とERPベンダーさんとでシステム要件を定めていったのですが、それを役員や経営陣が出席される、所謂経営会議で報告を行ったところ、聞いていない、それは困る、と差戻されてしまうケースが多発したそうです。そこで提示するまで少なくとも数週間はかけて準備してきたものが一瞬で白紙になってしまったのです。スケジュールや関わる人員のコスト、工数を考えるとぞっとしませんか。

このように、ある程度権限を有しているステークホルダー(意思決定者)が不在のプロジェクトというのは、経営会議で進めてきたことの承認が降りないケースが多いのです。加えて前述の認識の齟齬が発生していれば、会議で話が通じないケースも多々出てきます。

こうした問題を起こさないためにも、各部署、各役員の方に発言及び影響力を有するステークホルダーがプロジェクトにしっかり参加されているかというのはとても重要なのです。

その4:ERPベンダーとの打ち合わせで必要な予算や人員を再認識しよう

ここまで、ERP導入プロジェクトにおける体制構築について、特に漏れがちな「情報システム部門」と「ステークホルダー」について解説して参りました。

しかし、その他の部署の方やプロジェクトを推進していく人員体制が何名必要なのかなど、細かい部分に関してはしっかりERPベンダーと打ち合わせを行ったうえで判断していくようにしましょう。

というのも、皆様がどういった業務要件をシステムに落としていきたいのか、という内容によって、適切な製品(ERPパッケージ)も、予算も、工数もすべて異なります。そうしたシステムの細かい部分の理解を自分たちで行うには限界があるため、実現したい要件についてERPベンダーに相談したうえで再度固めていきましょう。

ただし、ERPベンダーの営業マンのいう事をすべて鵜呑みにしてしまってはいけません。というのも、ERPベンダーさんも皆さんを騙したいと思っている訳ではないものの、営業マンはあくまで営業のため、皆さんの要望を熟慮せず「出来ます」と返答してしまうケースがどうしても発生します。

これを見破るためにも、複数のERPベンダーに話を聞いておき、比較していくことと、知識や経験豊富なアドバイザーや第三者に、ERPベンダーの話が適切か否かを判断してもらうこと。この2つは後のフェーズで問題を出さない重要なファクターになるので覚えておきましょう。

これについて詳しく解説した記事もありますので、ぜひ参考にしてみてください。

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その5:困ったら相談しよう

ここまでのお話で、ERP導入時の体制構築において、「情報システム部門」と「ステークホルダー」の参画が如何に必要かということがわかりました。

しかし、「とはいえそれを説明しても自分より偉い上司や役員の方を動かすのは難しい!」という問題はどうしても拭えないかもしれません。

これを読んでくださったあなたは理解してくださっていても、それを伝えたから役員の方の工数をじゃあここに使いましょう、というのは、なかなか一社員では難しいですよね。

そんなときどうすればよいか。

結論、説明してもご納得いただけない場合、「第三者」や「外部のアドバイザー」の力を頼るほかないと思います。

専門家や、深い知見や経験を有した第三者からの指摘というのは、特に経営者に近しい方は耳を傾けていただけるケースが多いです。そうした方に、今回解説した事例や、それが為されない場合の起こりうるリスクについてしっかりと提言いただくことで説得していくというのはとても効果のある方法論です。

特に、社内の都合や特定の製品、ERPベンダーの営業さん観点ではない、フラットな目線を有する方という点がとても重要になってきます。

さいごに

今回の記事では、ERP導入プロジェクトで必要な体制構築という観点において、この3つについてお話させていただきました。

  • ERP導入プロジェクトにおいて、「情報システム部門」と「ステークホルダー」の参画は必須
  • 細かい人員計画はERPベンダーに業務要件とシステム要件を伝えたうえで考えよう
  • 社内を動かせない、ERPベンダーの話が正しいかわからない等、困ったときは第三者や知見と経験豊富なアドバイザーを頼る

さいごにアドバイスをさせてください。

皆さんの中で、前述した相談が出来る第三者やアドバイザーが見つからない、誰を信じていいのかわからない…、コンサルティング会社もコストが高く頼りにくい…

こうした点でお悩みをお持ちでしたら、わたしたちに一度相談してみませんか?

場合によっては、「経験豊かな専門アドバイザーへの相談」に、フラットな意見やアドバイスをもらえる場所のご用意ができるかもしれません。

この記事を見て、少し相談してみたい、と思われたら、まずは下記よりお問い合わせくださいませ。

勿論最初のご相談は無料ですので、ご安心ください。

ここまで記事を読んでくださいましてありがとうございました。

難しいERP導入プロジェクト、一緒に成功に向かって頑張りましょう!

この記事を書いた人
CS Clip事務局

CS Clip事務局です。
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